日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

556.廃藩置県と渋沢栄一

 明治新政府は、江戸時代の300藩に対して「廃藩置県」を断行することを決定。しかし当時全国の藩は借金まみれだった。借金は平均藩収入の3年分もあった。そこで新政府は借金を肩代わりする条件で「廃藩置県」を受け入れさせようとする。しかし政府には全く蓄えがなかったので、大きな反乱が起こることが予想された。この問題対策担当として白羽の矢を立てたのが「渋沢栄一」である。渋沢はまず全国261藩の借金総額を把握する、それは現在にして1兆6000億円もの大金だった。次に借金を仕分けして優先順位をつけた。ほとんどは国内の商人からだったが、外国からの借金を第一優先とした。商人たちの借金証書で1844年より古いものは引き受けを拒否することにした。こうして4000億円まで絞ったが政府には全く金はなかった。渋沢は以前にフランスの公債を購入した経験があった。大名が倒れた今は商人たちにも変わってもらわないといけないとして、幕府時代の借金証書を25年と50年の「公債証書」と引き換えにして商人たちに渡すという方法を編み出す。明治政府が将来の返済を約束する「公債」で市民から借金をする。そして「この証書の売買は自由」とすることで新たなビジネスを提案した。日本資本主義の父と言われた渋沢栄一は、次の1万円新札の肖像になる。