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一分間で読める科学・技術の話
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光雄から最後の「かんたん今日のニュース」   2021年2月23日

 2020.11.11突然で大変申し訳ありませんが、「かんたん今日のニュース」の配信を今回で終了させていただくことにします。これまで読んでいただきありがとうございました。小林達郎さんから「これからも…」とあった直後ですいません。私の病気が進行して、今は咳とたんと息切れで苦しい毎日を送っています。体を動かすことがきついのはもちろんですが、いよいよデスクワークも思うようにできなくなってきました。非常に残念です。思えば2010年10月に会社の部門内掲示板で、「1分間で読める科学技術の話」を掲載したのが始まりでした。週に2回朝の1分間でいいから若い技術者に、読んで広く知識をもってほしいと思って始めました。しかし若い技術者はちっとも読んでくれず、中年以上の方々に好評でした。350回まで続け、次には「毎日学んだ日記」を1100回までやり、そして「かんたん今日のニュース」は2017年から始めて720回になりました。

821.「太陽光」と光の性質   2021年2月21日

 私たちはたくさんの情報を、光を利用して「目」で見ることで受け取っている。ほとんどの光は「太陽」によって私たちにもたらされている。物体に当たり反射した光は私たちの目の角膜を通過し、水晶体で網膜に焦点を結び、視細胞で電気信号に変換されて脳に伝えられる。人類はずっと「太陽光」の恩恵を受けてきたが、その光の「正体」はわかっていなかった。ニュートンは光にはさまざまな色の光が含まれていること、そして太陽光(白色光)は色のついた光が重なりあったものであることを明らかにした。イギリスのマクスウェルは、1864年に電磁波の存在を予測し「光も電磁波の一種である」ことを証明した。宇宙空間や身の回りにはいろいろな波が飛び交っている。その一つが「電磁波」であり、電磁波の中で波長がおよそ380~780ナノメートルのものを「光」と呼んでいて私たちの目でとらえることができる。この波長間に紫から赤までの色が連続している。その外側には目に見えない紫外線と赤外線がある。真空中の光の速度は1983年に秒速29万9792.458kmで確定した。光は均一な物質内ではまっすぐに進む(光の直進性)。だが異なる物質の境界では折れ曲がる性質がある。これが「屈折」であり、その曲がる角度(屈折角)は入射前と入射後の物質により異なる。また光は透明でない物質の表面に当たるとはね返る性質があり、これが「反射」である。物質表面の状態により、バラバラの方向に反射する「乱反射」と一方向に反射する「鏡反射」がある。

820.実は有線の海底ケーブルと知っていますか?   2021年2月19日

 誰もが便利に世界中とつながるインターネット。プロバイダーはインターネットの玄関口である。ではその先はどうなっているだろうか?実は、プロバイダーとプロバイダー、または基地局と基地局の間をつなげているのは物理的なケーブル(有線)である。そして海を隔てた他国とのデータやり取りも、そのほとんどを有線の海底ケーブルに頼っているのだ。海底ケーブルは太平洋や大西洋のなどの海底に張り巡らされている。ケーブルは世界で400本を超え、総延長は地球30周分になる。国際データ通信の99%は海底ケーブルを通る。例えば日本とアメリカであれば約9,000km長さで、途中に40kmから100kmごとに「中継機」と呼ばれる光信号増幅器が配置される。膨大なデータを速く安く安定して送るには有線である。海底ケーブルは1850年代に英仏間ドーバー海峡に世界で初めて敷かれた。ケーブル敷設工事には大変な時間と労力がかかる。メンテナンスも欠かせない。米サブコムとNEC、フランスのアルカテルサブマリンの日米欧3か国で世界シェアの9割を占めてきたが、ここにきて中国が事業を広げている。

819.日本の「ハンコ社会」   2021年2月17日

 世界中でこれほど「ハンコ」が浸透した社会は日本だけである。ハンコの歴史は古くメソポタミア文明までさかのぼる。大事な品物を包んで粘土で封じる際に、信頼性を担保する印をつけるのに使われた。それがシルクロードを経て中国へ伝わった。福岡志賀島で発見された国宝の金印「漢委如国王印」も、紀元57年に中国光武帝から賜ったとされる。こうしてハンコの歴史は始まったが、中世には「花押」というサイン全盛の時代があった。花押は偽造されやすくハンコに戻った。江戸時代以降庶民もハンコを使い始める。明治政府は印鑑登録制度をつくった。一般に日本人は3種類の印鑑を所有している。「実印」「銀行印」「認め印」である。1968年には朱肉不要の画期的なインキ浸透印「シャチハタネーム」が発売された。印鑑登録に使われる「実印」は、フルネームが入る大きさで複雑な印相体やてん書体が使われる。偽造防止に効果があるが今の時代、陰影から印鑑を複製できる技術はある。技術的に偽造は可能でも日本の社会がハンコにそれなりの価値をおけば、それでいいのではないか。

818.脱炭素社会   2021年2月15日

 菅首相が、2050年までに温室効果ガス排出を全体としてゼロにし、脱炭素社会を実現するとの所信表明をした。地球温暖化対策の国際ルール・パリ協定で、産業革命以降の気温上昇を1.5℃に抑える必要がある。それには2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにすることは必須だ。すでに150か国ほどが「2050年に実質ゼロ」を掲げている。しかし「2050年に実質ゼロ」は非常に高いハードルで、このままではこの実現はほぼ不可能である。でも「生活していれば二酸化炭素は出るのにどうやってゼロにするの?」と思うはず。これは「実際の排出量から、植物が光合成などを通じて吸収した量を差し引いて算出する」というからくりがある。国内から出る二酸化炭素の約4割は発電に伴う。電気に頼るこの便利な社会でその脱炭素をどう実現するのか?また最も対応が難しい業界の一つが鉄鋼などの素材業で、熱源として石炭石油を使う以外に鉄鉱石の還元で鉄を作る際にも大量の二酸化炭素を排出する。私たちが「便利な社会」を変えていかないと目標達成は無理だと思う。

817.「源氏物語」紫式部、藤原定家   2021年2月13日

 「源氏物語」といえばその作者は紫式部である。しかし今日私たちが「源氏物語」を読むことができるのは、藤原定家のおかげだという。紫式部が「源氏物語」を書きあげたのは平安時代中頃であるが、紫式部が書いたものは平安時代のうちに全て失われてしまい、一つも残されていない。その後多くの写本がつくられたが写し間違いが多く内容もバラバラだった。鎌倉時代になって200年後に決定版を作成したのが藤原定家であり、現在に伝わる「源氏物語」はその定家本を元にしている。藤原定家が書き写した源氏物語はこれまで4冊が確認されている(いずれも重要文化財)。昨年5冊目の定家本「わかむらさき」が発見された。藤原定家は京都で和歌を生業とする家に生まれ、小さいころから和歌を詠まされた。「和歌の天才」と言われ後鳥羽上皇の勅撰和歌集「古今和歌集」編さんもつとめた。コピーも印刷もない時代には、写し取るしかない、次々と写本がたくさんつくられたわけだが、正確でないものが出てしまう。藤原定家は60歳を過ぎてから「源氏物語」写本の統一をしようと努力したという。なお「源氏物語」は全54帖。

816.「血糖値」の話   2021年2月11日

 血液中に含まれるグルコース(ブドウ糖)のことを「血糖」という。主に炭水化物を多く含むごはんやパンなどの糖分が、食事によって体内にとりこまれ消化吸収されたものである。全身の細胞で分解消費される血糖は、体にとって燃料にあたる大切なエネルギー源である。血糖は必要に応じて肝臓にグルコーゲンとして貯蔵され、血糖が不足したときには再びグルコースになって血液中に放出される。また血糖は脂肪に変えられて脂肪にも貯蔵される。血液の中に含まれるグルコースの濃度を「血糖値」という。空腹時に血液100ml中におよそ100mg(0.1%)が正常値とされる。60mg以下になるのを低血糖といい非常に危険とされる。糖尿病の人は長期間、高血糖様態にあり合併種を起こしやすいが、食生活の変化で糖尿病の人が増えてきているという。私も先月の検査結果では血糖値が150あった。血糖値は上限140 mg/dLを目安としてコントロールされているので要注意だ。

815.石油メジャー   2021年2月9日

 20世紀初め、中東に膨大な石油資源が眠っていることがわかった。しかし中東の産油国は、石油を採掘・精製する技術を持っていなかった。そこにアメリカ、イギリス、オランダ、フランスなどの国際石油資本すなわちメジャーが参入して、わずかな利権だけを払って採掘し膨大な利益を得た。自動車の普及に伴いガソリンの需要が急増した。石油メジャーとは石油系巨大企業複合体である。石油メジャーはその資本力で、石油の採掘、輸送、精製、販売までの全段階を行った。そこで産油国は自分たちの利益を守るために、1960年石油輸出国機構OPECを結成した。OPECで原油の価格や産油量を決定するようにしたのだ。中東戦争の際にはOPECが輸出量を制限し、世界中でオイルショックが起こった。そこで先進国は石油の備蓄やエネルギー資源の多様化を進める。原子力発電もその一つだ。第二次大戦から1970年代まで石油をほぼ独占した7社を「セブンシスターズ」と呼ぶ。米国ロックフェラーのスタンダードオイル(現エクソンモービル)、英国ロスチャイルド財閥系のシェル、オランダのロイヤルダッチなど。

814.C型肝炎とウイルス   2021年2月7日

 今年のノーベル医学生理学賞はC型肝炎ウイルスの発見に決まった。これはウイルスが起こす肝臓の炎症でA~E型の5種類のうちの一つ。日本ではC型の患者が多く約150万人いるとされる。輸血や血液製剤で感染した人が多い。1992年以降は輸血の血液検査に精度の高いウイルス検査が導入されて、現在は感染の危険性はない。感染すると約7割の人で肝臓にウイルスがとどまり、ウイルスはじわじわと肝臓の細胞を壊し続ける。これが慢性肝炎で感染に気付かない人も多い。国内では肝臓がん患者の約6割がC型肝炎ウイルスへの感染が原因とされる。1989年ウイルスの遺伝物質が特定されて研究が進み、副作用の少ない飲み薬の抗ウイルス薬ができた。実は1970年代までC型肝炎ウイルスは未知の「新型ウイルス」だった。検出法も治療法もなく暗中模索だった。C型肝炎は当初、電子顕微鏡で見てもウイルス粒子が見当たらなかった。画期的な新薬ハーポニーが承認されたのは2014年である。

813.石灰岩と大理石   2021年2月5日

 岩石は大きく「火成岩」「堆積岩」「変成岩」の3種類に分類される。「堆積岩」は砕けた岩石、生物の遺骸、化学的沈殿物などが、水底や陸上に堆積または沈積して固結したものである。さて私が信じられないのは、「石灰岩」である。これは堆積岩の一種で世界中に広く分布している。主に炭酸カルシウムからなり、生物起源のものと化学的沈殿によるものがある。前者は有孔虫、サンゴ、ウミユリ、貝類などの生物が海中で堆積してできる。多孔質で吸水性がある。太古の時代にサンゴや貝類の死骸が堆積したといわれてもその量が多すぎて信じがたい。石灰岩台地は、弱酸性の雨水で浸食されやすく、地下水脈が空洞を形成すればそこに鍾乳洞ができ鍾乳石がつくられ、鍾乳洞は世界各地にみられる。また石灰岩成分を含んだ水の流れが棚田状に連なる石灰段丘を形成した絶景として、中国の黄龍やトルコのパムッカレがある。この石灰岩を粉末にした石灰石は、セメント、石こう、陶磁器、ガラス材料など広く活用されている。「大理石」は、石灰岩が熱により接触変成作用で再結晶した「結晶質石灰岩」である。高級石材の代名詞として建築内装などに使われる。石灰質の混入鉱物によって色や模様に多様な変化を見せる。