日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

477.物体の移動速度計測法

 移動する物体の速度を計測するには、いくつもの方法があるが、最も基本的で確実なのは距離がわかっている移動経路上の2点での通過時間を測ることである。陸上のマラソンでは、コースの所定ポイントごとにセンサが埋め込まれていて、ランナーの靴の信号と時間から速度を計測できる。一般に「スピードガン」と呼ばれる装置は、測定する移動物体に向けてマイクロ波や赤外線や超音波などを照射し、物体からの反射波とドップラー効果によって反射波の周波数が変化することから、両者の比較によって速度を計測するもの。自動車の速度取り締まりに用いられる通称「オービス」も、野球でピッチャーが投げるボールの球速を測るスピードガンも、同じ原理を使っている。なおドップラー効果とは、音源とセンサが相対的に近づくときには相対運動がない場合に比べて周波数が高く感知される現象である。また飛行機の速度計測では「ピトー管」が用いられる。正面からくる空気の圧力と横を通り過ぎる周囲空気の圧力の差を測定して、温度や気圧などで補正して計測する。この世で最も速い「光の速度」を世界で初めて計測したとされるのが、なんと1676年である。デンマークのレーマーは、木星の衛星の食のタイミングを利用して、光速は約秒速21.4万キロという値を導いた。現在はレーザー光の波長と周波数を精密に計測して、秒速約29万9800キロと求められている。