日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

461.東京オリンピックと建築

 1964年に開催されたアジア圏初の東京オリンピック・パラリンピックは、日本の戦後復興を世界に知らしめた。新幹線や首都高速など交通インフラも整備された。建築の分野でもいくつもの成果があった。20世紀を代表する名建築としても名高いのが、「国立代々木競技場」である。代々木公園に隣接して第一体育館と第二体育館の2棟からなる。それぞれ水泳とバスケットボールの会場として建設された。設計者は丹下健三である。人々が驚いたのは、彫刻作品のように優美なカーブを描く造形である。第一体育館の屋根は大胆に反り返り、外観を印象深いものにしている。これは2本の柱をケーブルでつなぎ広大な内部空間を生み出す吊り構造の技術による。当時これほど巨大な空間の屋根を吊り構造で支える建築物は世界にも例がなかった。この吊り構造によって、館内には柱が1本もない大空間が広がった。他にも江戸城跡北の丸公園に建設された「日本武道館」がある。屋根のてっぺんに擬宝珠をのせた八角形の建物で、柔道会場として建築された。設計者は山田守。