日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

450.力を増大させる手段

 人間の力を増大させる手段として、古くから知られているものが「くさび」と「てこ」と「滑車」である。これらはもちろん現在も広く使われている。地面を掘る鍬、木工に使う斧、金属切断のたがねなどは「くさび」を利用したもので、細い先端を頑強な対象物に打ち込み、分離切断させるのに用いる。お城の石垣などに使われた石材は、くさびを並べて打ち込むことできれいに割ることができる。実は木ネジもくさびの応用であり、くさびをらせん状にしたものといえる。回転させて押し込んでいく。重量物をリフトするジャッキのネジもくさびの応用である。「てこ」は、支点を中心にして揺動する棒部材からなり、力点に加えた力を作用点で拡大することができる。栓抜きもハサミも「てこ」の原理を用いている。「滑車」はこれらより進歩した装置である。例えば2つの滑車を使いロープを3本状態にすると、おもりを動かす力は3分の1になる。最初は井戸から水を汲み上げるのに用いられた。今でもクレーンなどに多く使われる。重量物を持ち上げるチェーンブロックも類似の原理である。力を増大させる手段は、さらに「歯車」と「油圧」の登場で進化して現在に至るが、特に「油圧」については別途記載する。