日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

444.製鉄の話(初歩)

 大昔、鉄は太古の海に地表から流れ込んだ。約27億年前に光合成細菌が出現して酸素をつくりだした。鉄はこの 酸素で酸化されて沈殿し鉱床となった。これが地表に出たのが鉄鉱石の鉱山である。製鉄とは、この鉄鉱石から酸素を奪って微量の炭素を加えて鋼をつくることである。純粋の鉄はやわらかい。炭素を加えると硬くもろくなる。炭素量2%未満で、適正な粘り強さをもたせることができる。製鉄所には2種の炉がある。高さ100mもある高炉に鉄鉱石とコークスを交互に入れて下から高温の熱風を吹き込む。鉄鉱石は熱で酸素が奪われ同時にコークスの炭素が鉄と結びつく。最高2200度にして約8時間後、溶けた鉄(銑鉄)を炉の下から取り出す。ただこれは炭素量が4%以上もあるので、転炉に移して酸素を吹き込んで中の炭素を燃やす。日本では古来「たたら製鉄」という方法で砂鉄と木炭から鋼をつくっていた。