日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

362.アルファ化米

 お米の成分のほとんどは炭水化物(でんぷん)である。常温では水に浸けておいても、お米に水が入り込むことができずそのまま食べることはできない。しかしお米に水を加えて加熱処理をする(炊飯)ことで、加水分解が行われて消化しやすい状態になる。この消化しやすいアルファ化状態を、急速乾燥によって固定化したものが「アルファ化米」である。つまり炊き上げたごはんに熱風を当てて乾燥させたものといえる。こうすれば常温で長期保存ができ、水またはお湯を加えるだけで実食可能になる。白米以外に五目ご飯、赤飯、ピラフなどもある。15℃の水で60分、お湯なら15分で加食ごはんになる。第二次世界大戦時、軍から「火力を使わず炊飯もせずに食べられるごはん」を求められた大阪大学産業科学研究所が、アルファ化米を開発した(尾西食品)。1995年の阪神淡路大震災時に活用され、災害時の保存食として注目されるようになった。