日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

362.草食動物のふしぎ

 私は昔、草しか食べていない牛や馬がどうしてあれほど大きな体を得ることができるのか、非常に不思議だった。かつての草食巨大恐竜も同じである。草にそれほど十分な栄養があるとは思えない。植物繊維の主成分はセルロースである。これは地球上で最も豊富に存在する炭水化物なので、人間もこれをそのまま食料にできれば食糧危機を回避できる。しかし人間はそれができない。牛、馬、ヒツジなどの草食動物はそれができるのだ。セルロースを直接分解できる生物は非常に少ない。大半の草食動物も、実は植物を自らの力で栄養素にすることはできない。そのため植物繊維を分解して栄養素に変えてくれる微生物を飼う「微生物培養タンク」を有している。例えば牛の場合4つの胃の中の第一と第二の胃で微生物を飼っている。この微生物を育てて、これを消化吸収することで栄養を得ているのである。だから正確には、「草食動物」ではなく「微生物食動物」なのである。