日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

742.病原体の検査方法

 新型コロナウイルスでPCR検査などが話題になっている。病原体の検査方法には大きく4種類がある。最も歴史的に古くシンプルなのが「顕微鏡での観察」であり、顕微鏡を使って病原体そのものを直接に見る。ただ観察できる病原体の大きさに限界があり、ウイルスは光学顕微鏡では観察できない。病原体への感染を間接的に知る方法に、「抗原検査」と「抗体検査」がある。どちらも人体が病原体を排除するための免疫反応を応用する。抗原検査は患者のたんや尿に「抗原」があるかどうかを調べる。抗体検査は患者の血液中の「抗体」の有無を調べる。ただ抗体や抗原は別の病原体でも反応する場合があり、抗体検査は過去の感染歴はわかるが診断には不向きである。4つめが「遺伝子検査」で、PCR検査もその一つである。専用の機械を使い病原体を増やしてその遺伝子配列を検出する。時間がかかるが他の方法より高感度とされる。1985年に米国のキャリーマリスがPCR法を開発し90年代から臨床検査に応用されてきた。