日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

672.仙台白菜(松島白菜)

100年前まで日本では現在のような形の白菜は手に入らなかった。中国から白菜の種を持ち帰り土に植えても、結球せず白菜にはならなかった。日本には以前から小松菜やカブなどアブラナ科の植物があり、受粉時に混じり合ってしまい交雑種をつくってしまうからであった。アブラナ科の植物は近縁種の花粉で受粉して交雑種をつくりやすいのである。大正時代になって、松島湾の小島において、雑草も含めてすべてのアブラナ科らしい植物を除去し、そこに中国から来た白菜の種を植えることによって、初めて交雑しない結球した白菜をつくりだすことに成功した。農家ではここでとれた種を用いて白菜をつくった。これが松島白菜であり「仙台白菜」として全国に出荷された。宮城県は昭和初期まで生産量日本一の白菜産地だった。仙台白菜は白くやわらかで甘みも強いが、傷つきやすく害虫に弱いなどの欠点もあった。やがてほかの地域でも結球する白菜がつくり出されて、仙台白菜は生産が落ちていった。