日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

670.終戦直後に電気自動車

2019年東京モーターショーは電気自動車EVが中心になった。ガソリン車から電気自動車へと動きつつあるが、今から70年前終戦直後の日本で、電気自動車「たま」が製造販売されていた。東京立川の航空機メーカー立川飛行機は、戦後飛行機製造を禁止され米軍から依頼された仕事をしていた。その中で飛行機の設計技術者だった外山保は、自動車開発を提案した。外山をリーダーに小さな開発グループが1945年にスタートする。迎え入れた設計者田中次郎と電気自動車で行こうと決断。東京電気自動車株式会社を設立する。1947年5台の電気自動車「たま」が完成しパレードを行う。パレード後の展示即売会で5台とも売れた。1948年には374台を生産、価格は35万円と高価だったが、タクシー会社が最大の顧客だった。しかし1950年に朝鮮戦争が始まると、電池材料の鉛価格が高騰したため生産継続はできなくなった。その後日本経済は復興してガソリン自動車の時代になる。結局「たま」の総生産台数は1099台。外山の会社は富士精密工業と合併してプリンス自動車となり、ガソリン車開発を進める。そして創り上げた車が「スカイライン」であった。1966年プリンス自動車は日産自動車と合併して、プリンスの名前は消えてしまった。