日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

664.中国万里の長城

 中国万里の長城は、宇宙からも見える巨大建造物であり、全長は2万1000キロに及ぶ。2200年前に秦の始皇帝によって建設が始まった。当時北方の遊牧民が、強力な弓と馬を操る騎馬民族として、たびたび中国に侵入侵略してきた。これに対処する方法として作られたのが万里の長城の始まりである。初期のものは固く突き固めた土壁であった。明の時代になって、モンゴル軍から北京を守るべく山の頂上に改良した新たな城壁がつくられた。それはレンガ造りのものである。レンガをモルタルで接着して積み上げた二つの壁の間に粗石を詰め込んだ、厚さ5m、高さ7mもの立派なものであった。レンガを焼いた窯の場所から山の頂上まで人力で持ち上げたのだから大変だった。城壁には望楼と呼ばれた見張り台が各所に設けられた。また常に大量の兵士も配備する必要があった。壁は何世紀にもわたり延長されていった。歴史上最も多くの労働力と資材とがつぎ込まれた建造物となった。