日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

592.電車のトイレ

 鉄道車両用トイレの歴史は古く、明治22年に東海道線列車に設置されたのが初。私が知っている昔の電車のトイレは、いわゆる「ポットン便所」で解放式であり、いうなれば垂れ流しだった。その後循環式汚物処理装置が開発されて垂れ流しはなくなった。現在新幹線や特急などのトイレは「真空式」と呼ばれる方式である。真空式トイレは、トイレ下部をシャッターで閉めて排水管を真空にした後、シャッターを開いて排泄物を瞬時に貯留タンクに吸引する方式である。洗浄水の使用量が少なく臭気対策にも優れている。この真空式はスウェーデンのEvac社が開発した技術である。日本ではEvac社と技術提携して製造され、車両に搭載されている。日本で最初に真空式トイレを実用化したのは、平成4年JR九州の新型特急電車であった。このEvac社の真空トイレは、実は航空機用が先に実用化されていたという。最近の新幹線トイレでは温水洗浄便座も採用されている。