日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

559.抗生物質

 現代医療において、結核、脳炎、髄膜炎、敗血症、梅毒などの細菌感染症を治療するのに「抗生物質」は欠かすことができない。だが抗生物質は細菌を殺す薬であり、風邪はほとんどがウイルス性なので風邪に抗生物質を使用するのは意味がない。世界で最初の抗生物質は、1928年イギリスのフレミングによって偶然発見された。黄色ブドウ球菌を培養していた容器に、誤ってアオカビを混入してしまった。するとアオカビの周囲には細菌が生存できない領域ができていた。こうしてアオカビから「ペニシリン」がつくられ、1943年頃から医薬品として使用されるようになって、「奇跡の薬」として数多くの命を救ってきた。現在ではさまざまな抗生物質が開発されており国内で使用されるものは100種以上ある。実は近年抗生物質は、その半分以上が動物に使用されている。ウシ、ブタ、ニワトリなどに使用されているが、逆にそのことが薬剤耐性菌をつくりだしているといわれる。ちなみに風邪の原因とされるウイルスは200種以上存在する。風邪の治療で最も重要なのは、安静にして睡眠や休養を十分にとることだ。