日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

510.日本最古の貨幣

 我が国最古の貨幣といえば、「和同開珎(わどうかいちん)」であった。史書「続日本記」には、708年に武蔵の国秩父郡にて和銅が発掘されて、元明天皇がこれを祝って元号を「和銅」に改め、「和同開珎」を鋳造したとある。しかし1999年になって、奈良県飛鳥池遺跡の発掘調査で見つかった「富本銭」が、和同開珎に先がけてつくられた日本最古の貨幣だとわかった。ただ、「富本銭」は藤原京とその周辺の経済圏で流通したのに対して、「和同開珎」は全国流通をめざして本格的に大量に発行された通貨であった。「和同開珎」の出土遺跡は、北海道から九州まで784か所に及んでいる。「和同開珎」の発行は、平城京の造営や和銅改元とともに律令国家の形成に欠かせない政策であった。埼玉県には和銅採掘遺跡がある。ここで産出した銅は、「にぎあかがね」と呼ばれ、純度が高く精錬が不要な自然銅だったという。「和同開珎」に対しては当時もニセ金が横行したらしい。