日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

492.哺乳類のY染色体

 一般に動物等においてはオスとメスとで大きさや形や性質に大きな違いがある。これはオスがメスに選んでもらうためであり、より強い子孫を残せるようにというための方法である。オスのクジャクは立派な羽根をもち、オスの鹿は立派な角をもつ。細胞の核にある染色体は、遺伝情報DNAを収納している。人間の場合その数は46本と決まっている。それには長さの長いものから順に番号がついていて、それぞれが2本ずつある。片方は父親から、もう一方は母親から受け継いだものである。最後の2本は特別な存在で「性染色体」と呼ばれXとYの2種類がある。それがXとXであれば女性であり、XとYであれば男性である。母親はXしか持っていないが、父親からXをもらえば女性になり、Yをもらえば男性になる。つまり男をつくるカギは男性がもつ「Y染色体」である。女性の場合はXとXなので染色体の組換えが起こって多様化することができるので、環境変化等への対応力が高い。しかし男性の場合のXとYは自由な組換えができない。そしてY遺伝子は過去3億年の間に何度も部分欠失が繰り返されてきて、非常に小さく(短く)なってしまっている。これは全哺乳類で共通に起こっている。Y染色体はいずれ消えてなくなるのでは?と言われる。