日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

448.水飲み鳥(平和鳥)

 最近あまり見かけなくなったが、町のショーウインドウなどで水鳥の形をしていて、ときどきコップの水にくちばしを突っ込んでは、休むことなくその体を前後に動かし続けている「水飲み鳥(別名平和鳥)」をご存じだろうか。この水飲み鳥は世界中に知られ、その発明者は日本人平田棟雄ともいわれる。水飲み鳥は電池でもゼンマイでもなく動き続けるので、永久機関なのではないだろうかとさえ思わせてくれる。二つの中空ガラス球がガラス管でつながり、一方の管端はガラス球に挿入されて開いている。平和鳥の頭部はフェルトでおおわれている。頭部のくちばしがコップの水で濡れると、フェルト部から水分が蒸発しはじめ周囲から気化熱を奪う。頭部は冷たくなり、それに比べてお尻が温かいため、水飲み鳥の内部にある揮発性の液体(エーテルなど)は、お尻で蒸発して管内を頭部に向けて移動し、そこで再び液化する。 こうして頭に液体がたまって重くなると、水飲み鳥はコツンと傾いて「水を飲む」動作をする。 水飲み鳥が横になると、頭とお尻が水平にパイプで結ばれる格好になり、パイプを伝って液体がお尻の方に移動する。 液体がお尻に移動すると、お尻の方が重くなって、水飲み鳥は起きあがる。 以後、頭を冷やす水がなくなるまで、これを繰り返すことになる。