日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

442.韮山反射炉

 機会があって伊豆の国市にある韮山反射炉を見学してきた。明治日本の産業革命遺産として2015年に世界文化遺産に登録された。反射炉とは、17~18世紀にかけてヨーロッパで発達した、金属を溶かして大砲などを鋳造するための溶解炉である。内部の天井がドーム状になった炉本体と、レンガ積みの高い煙突からなる。木炭や石炭を燃やして発生させた熱や炎を炉内の天井で反射させ、一点に集中させることによって銑鉄を溶かすための千数百度の高温を実現する。炉内壁を放物線状にして銑鉄に熱の焦点が当たるようにする。韮山反射炉は2基4炉からなり高さは15.7m。竣工は安政4年(1857年)であり、韮山には反射炉以外の設備もあって大砲製造工場を形成していた。釜石でつくられた銑鉄が運ばれ、それを反射炉で溶解させ、溶けた鉄をカノン砲鋳型に流し込み、次に水車の動力でこれを回転させて穴をくり抜くという工程である。この反射炉製造に力を尽くしたのは韮山代官であった江川英龍であるが、英龍自身は完成を見ずに世を去った。その息子が反射炉を完成させた。稼働を終えた後も150年以上にわたり、地域の協力で修理保存されてきた。