日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

390.タネを考える

 タネ(種)があってこそ米も野菜もとれる。かつては農家が自分で自分の野菜から種をとっていたが、今は違っている。スーパーで売られている国産野菜の種子は、そのほとんどが種苗会社の管理のもと、海外でつくられている。国内産はわずか1~2割とされる。食料自給率よりもタネの自給率の方がずっと低いのである。安全でおいしい野菜を求めて産地に注目する消費者は多くなったが、そのもととなる種子について意識している人はほとんどいない。種苗会社とは、種子を生産し農家に販売する企業である。例えば「サカタのタネ」や「タネのタキイ」などがある。昭和の高度経済成長期に、安定供給を求める時代の流れの中で、各地に古くから伝わる伝統的な野菜は姿を消した。代わりに種苗会社がつくる均質で収量の多い「F1品種」が普及して現在にいたる。だが最近、伝統野菜が再評価されるようになった。石川の加賀野菜や京都の京野菜などである。