日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

387.日本の仏像彫刻

 日本の彫刻は仏像を中心に発展してきた。古い順にみれば縄文時代は、土偶や埴輪のように土でつくる彫刻があった。6世紀に仏教が伝わり、銅の仏像が朝鮮半島や中国からやってきた。それを手本に、土でつくった型に溶かした銅を流し込んでつくる(鋳造)ようになった。8世紀の奈良時代に、特殊な方法が生まれた。源流は中国にある。土でつくった型に麻布や和紙を漆で貼ったり、漆と木の粉を混ぜたものを盛り付ける「乾漆」という手法である。奈良興福寺の有名な「阿修羅像」はこの乾漆法でつくられている。鋳造に比べて微妙な表情なども作りこめる。しかしこの方法は高価になるので、平安時代以降は衰退して、木の彫刻が始まった。乾漆には「脱乾漆」と「木芯乾漆」の2つがある。「木彫が一番発達したのが平安時代末から鎌倉時代である。削った水晶を目にはめる方法も行われるようになった。