日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

347.蚊帳(かや)

 みなさんは蚊帳(かや)をご存じだろうか。私が子供のころは、夏になると寝室で布団は蚊帳の内部に敷いたものである。蚊帳は、緑色の糸を細かい網目状に編んで作られた四角い室内用テントのようなものである。最近では、蚊も少なくなったが、昔は田舎ではたくさんの蚊がいたものだ。蚊帳は平安時代からあるそうだが、絹や木綿を使った高価なものであった。室町時代には比較的安価な麻糸で作られるようになり、江戸時代になると近江商人が大規模な蚊帳生産を行って、広く使われるようになった。それでも当時の庶民にとってはぜいたく品で、代わりの方法として「蚊遣火」が使われた。カヤの木やスギ、マツなどの葉やヨモギの葉を燃やした煙で蚊を追い払う方法である。我々が使っている「蚊取り線香」が登場するのは、明治20年のことである。そういえば小さいころ、雷が鳴ると蚊帳の中に入ったものである。