日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

309. 画家が用いていた装置

 カメラも写真もなかった時代に、精密な絵を描いていた欧州の画家たちが用いていたのが、「カメラ・オブスキュラ」という装置である。かの有名なフェルメールも用いていたといわれる。「カメラ」とはラテン語で「部屋」を意味する。からっぽの箱の一面にレンズを配置して、このレンズを通した光がピンホール現象で上下逆になって手前のガラス板に映し出されるものである。このガラス板の上に薄い紙を載せて、上からなぞることにより正確で精密な絵を描くことが可能であった。こうして風景や人物を映し出して描いたといわれる。なおこのガラス板の部分に、薬品を塗った銀板を置いたものが、その後発明された世界初のカメラ「ダゲレオ式カメラ」である。このカメラ・オブスキュラの原理図解は、レオナルドダビンチのメモに記載されていたという。 ちなみに日本にカメラが持ち込まれたのは1848年。写真画像は左右反転するので、男性の着物姿では左前になってしまい刀も右側になってしまうという問題があった。さらに同じ姿勢を30分も維持する必要があり、何かに寄り掛かった状態で撮影した。坂本龍馬の写真でも何かに寄り掛かっている。