日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

53.放電加工

 金型業界などで利用されている金属加工方法に「放電加工」というものがあります。これは加工液(一般にはオイルか水)の内部で、電極材と被加工物の間に 毎秒1000~10万回の放電火花を断続的に飛ばしながら、電極の形状を被加工物(導電性を有すること)に転写させて彫りこむ加工法です。電極は銅などの 金属を切削加工して作られます。
 1946年に旧ソ連のラザレンコ夫妻が、火花の発生で接点が磨耗する現象を研究中に、放電加工という新しい加工方法を考えたのが始まりとされています。その主な特徴は
(1)硬い材料でも加工ができる
(2)切削外力や熱歪を発生させずに加工できる
(3)複雑な穴形状でも加工できる、などです。
  型彫放電加工とワイヤーカット放電加工の2種類がありますが、後者のワイヤーカット放電は、1960年頃にやはり旧ソ連で電極ワイヤーを用いて糸鋸のよう に放電加工する方法が考えられたことが始まりです。つまりワイヤーを移動させながら電極にする方法なので、特定の電極は不要になるという優れた方法です。 今では20μ径のワイヤーを用いて±2μの精度で加工できるレベルになっています。