日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

768.優れた素材「竹」

 私は竹という素材が好きだ。かつて日本で大切にされてきた素材、それが「竹」である。かつて竹は身近にあり私たちの生活に密着していたが、今は忘れられていて残念だ。現在の私たちはもはや「竹」を素材としてはほとんど使わなくなった。その主な原因は便利な「プラスチックの登場」である。その結果日本全国で竹やぶが手入れされずに、荒れて伸び放題になっている。竹は丈夫で軽くしなやかである。かつて軽量な容器のほとんどは「竹かご」であった。台所で、また農作業で竹かごは必須だった。このように竹を丈夫にきれいに編むという優れた技術も消えつつある。竹は繊維がまっすぐなのできれいに割ることができる。液体容器として盛んに使われていた木製の樽も、それを固く締めていたのは竹である。かつて日本の建築にはたくさんの竹が使われた。かやぶき屋根や土壁に必須であった。特に茶道の世界では今でも茶室、茶杓、茶筅、ひしゃく、花入れなどに竹が使われる。食品を包むのにはタケノコの皮が用いられた。釣り竿も竹製だった。竹ひごは工作に用いられた。私も子供時代には竹鉄砲や虫かごなどをつくって遊んだものだった。