日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

689.「きのこ」とは何か?

「きのこ」とは、菌類の中で繁殖器官である子実体が比較的大型のものをいう。いつも私たちが見ている、または食べているものは、「きのこ」本体ではなく「子実体」というもので、胞子を飛ばすための部分である。「きのこ」本体は「菌糸体」であり、それは木の内部や土の内部に糸状に広がって張り巡らされている。一つの本体からいくつもの子実体が顔を出す。きのこは胞子を飛ばして増えていくが、胞子は人間の精子と卵子にあたる。胞子は空気中にたくさんただよっていて雨が降ると地上に落ちる。全世界に数千種類のきのこがあり、地中、地上、腐木などに腐生、寄生、または共生する。きのこは巨大生物になることがある。1998年にアメリカで調査されたオニナラダケは、一つのきのこが地下の面積9平方キロまで広がっていた。木と共生関係にあるきのこでは、菌根をつくって木から糖分をもらってその代わりに土中のリンやミネラルを木に供給している。マツタケがこれに該当する。菌類は有機物を分解して無機物に還元する生物である。きのこは森林生態系を構成しており、木材分解においては主役になっている。2020.01.22