日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

381.黒部ダム

 NHKブラタモリで黒部ダムを取り上げていた。富山県北アルプスの山中に黒部第四ダムがある。昭和30年代高度経済成長期における急激な電力需要増大に応えるため、関西電力が建設した。のべ1000万人が工事にかかわり、総工費513億円という巨大事業であった。そもそも黒部峡谷は人の行く手を阻む秘境だった。現在、長野県扇沢からトロリーバスで全長5.4キロのトンネルを通っていくルートがある。このトンネルは元々現場に資材を運ぶために掘られた工事用のものである。映画「黒部の太陽」でこのトンネル工事の苦労が描かれている。最大の難関が破砕帯と呼ばれるエリアで、くずれやすくてしかも大量の地下水があふれ出してくる。それまでは一日に9mの速度で掘り進んできたが、この長さ80mの破砕帯を越えるのに7か月を要したのである。しかし苦労の末のトンネル貫通によって、資材運搬が可能になりようやくダム工事に着手できたのである。発電所はダムから約10キロ下流にあり、その落差545mを確保して発電能力を得ている。