日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

95.原子力発電所

 今回問題になっている福島第一原子力発電所は、40年前の高度経済成長期にその1号機が稼動を開始しました。当時は国産技術が無いので1号機は米国GE 社製だそうです。1号機から4号機の原子炉構造はテレビで何度も解説されていますので、多くの人が勉強する機会を持つことができました。
 原子力発電の歴史を振り返ると、私が生まれた1951年に米国のアルゴンヌ国立研究所の高速増殖実験炉が発電をしたのが世界最初と言われています。
 現在最も多く利用されている軽水炉の1種である沸騰水型原子炉ですが、これはGE社が1960年に完成させました。もうひとつの軽水炉である加圧水型原子炉はウエスチングハウス社が原子力潜水艦用として開発したものだそうです。
  日本では1963年に東海村の実験炉で日本発の原子力発電が行われました。日本の電力量に占める原子力発電の比率は年毎に変動しますが、大体23~29% といった値でした。国内では、17箇所54基の原子力発電装置が稼働または休止していました。そして建設中や計画中が15基あります。
 核分裂し やすいウランからなる燃料棒で中性子が飛び出して、それによる核分裂反応が臨界状態を続けると大きな発熱が起こります。この発熱で水を沸騰させその水蒸気 でタービンを回して、更に発電機を回すことで発電が行われます。実際には炉内部を70気圧にして高圧で280度で沸騰させるようにしているそうです。中性 子を吸収することで発熱を抑えるのが制御棒です。