日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

712.麒麟(きりん)

今年のNHK大河ドラマのタイトルにもなった「麒麟(きりん)」とは、古代中国で聖人が現れると姿をみせるとされた霊獣である。「麒麟が来る」の舞台は戦国時代の始まりで、みんながもう戦うことに疲れ、良い治世が行われて穏やかな暮らしができることを願った象徴である。古代中国で鳳凰、龍、亀とともに四霊獣の一つとされた。それが日本に伝わり日本書紀でも吉兆と位置づけられた。そして神社仏閣の装飾や美術品として具現化された。徳川家康をまつる日光東照宮では、国宝陽明門に掲げられた「東照大権現」額の左右に、鮮やかな麒麟の彫刻がある。1911年に完成した日本橋にも麒麟像が設置されたがそれは大きな翼を有する。実在しないからこそ自由に想像を広げて創作意欲を刺激した題材だった。「麒麟」といえばどうしてもキリンビールのラベルが思い浮かぶ。在留外国人による前身となる会社が、1888年に初めて開発したビールのラベルには「麒麟」が描かれた。輸入ビールには動物の絵があったから、それならと東洋の霊獣が選ばれたらしい。首の長いキリンとどうして同じ名前になったかははっきりしない。麒麟の漢字は難しくて思い出して書くことができない。