日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

635.ライト兄弟の成功

 1903年アメリカのライト兄弟が、フライヤー号と名付けた複葉、先尾翼式の動力飛行機で、世界で初めて空を飛んだ。12秒間36mの飛行に成功したのだ。わずか数人が見守る中でのことだった。兄弟は合計4回飛行し、最長は59秒間260mだった。この飛行機には2つの推進式プロペラが下側の翼に設けられ、直立4気筒12馬力のエンジンから、自転車用チェーンで減速して左右のプロペラを互いに逆方向に回転させた。車輪はなく、木製レールの上を走る台車に乗せて離陸した。向かい風も幸いした。

ライト兄弟の成功は単なるまぐれではなく、科学的な知識と長年にわたる技術と計算の積み上げによるものだった。1900年にグライダーをつくって滑空実験をやり、揚力の研究と操縦法体験をした。研究小屋に手製の風洞をつくり翼形と揚力の実験をした。ガソリンエンジンもプロペラも自分たちで設計製作した。このライト兄弟の成功は、デイトン市の新聞が小さく報じただけだった。ライト兄弟はその後もフライヤー2号機と3号機をつくり、3号機では8字飛行にも成功した。ライト兄弟の成功が世界に知られると、特にヨーロッパの技術者たちが次々と挑戦することになる。