日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

610.世界遺産の巨大古墳

 この7月、大阪府にある「百舌鳥・古市古墳群」の世界文化遺産への登録が決まった。49基のさまざまな古墳で構成された、国内で23番目の遺産である。そのうちの過半数を占める29基が、天皇や皇后など天皇家の墓とされる「陵墓」「陵墓参考地」である。それらは古代史の謎を秘めたブラックボックスになっている。古墳時代に日本列島に君臨した大王(天皇)たちが、自らの権力を墓の造営に注ぎ込み、5世紀には規模が極大に達した「古墳群」が造営された。古墳は全国に約16万基あるという。国内最大の前方後円墳の大山古墳(仁徳天皇陵)は墳丘長さが486mもあり、第2位の古墳(応神天皇陵)も長さ425mある。古墳に葬られた被葬者についても学術的には確定していない。謎を秘めたブラックボックスになっているのは、宮内庁が管理する「陵墓」には、研究約者さえもが自由な立ち入りが認められていないからである。宮内庁が仁徳天皇陵として、我々もそのように学校で習った古墳も、今は大山古墳と呼ばれ、仁徳天皇という認識は誤りとの見方が多い。