日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

586.発光の化学

 夏になると花火の季節だ。花火の色は化学でつくられている。花火でいろいろな色の光を生み出しているのは「光を放つ金属元素の違い」である。金属原子は熱エネルギーを受けると一時的に不安定状態になり、安定な状態に戻るときに元素ごとに特有の色(波長)の光を放出する。例えばバリウムは黄緑色、カルシウムはオレンジ色、ガリウムは紫色、リチウムは赤色、銅は青緑色といったぐあいに。これは「炎色反応」と呼ばれる。花火師はこれらの金属元素を含む炎色剤を調合することで、さまざまな色のきれいな花火を生み出す。江戸時代までの花火は今のようにカラフルではなく、黒色火薬の燃焼による暗いオレンジ色が主だったという。コンサート会場などで観客が振る「ケミカルライト」は、内部に電池などはなくポキッと折ることにより光り始める。2種類の溶液が混ざることで起こる化学の光である。ホタルの発光もルシフェラーゼという酵素のはたらきによる化学発光である。