日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

465.重機を動かす「油圧」の力

 油圧ショベルやクレーンやブルドーザーなど、巨大な力で作業をしている「重機」は、今や工事現場などになくてはならない存在だ。どのようにしてあの巨大なパワーを出せるのだろうか。その秘密は「油圧」にある。非圧縮性に優れた油(オイル)を用いて、「パスカルの原理」により動力の力を伝えている。フランスの科学者パスカルは、容器に閉じ込められた気体・液体の圧力の大きさは容器内のどの点でも等しいことを発見した。これが「パスカルの原理」であり、容器の一部に加えた力はすぐに均一化伝達されるのだ。ディーゼルエンジンによって駆動される高性能の油圧ポンプによって「油圧」は生み出される。重機では、「アーム動作」はもちろん、「旋回動作」も「走行動作」も油圧によって行われている。重機がゆっくりと走るのは油圧モーターのパワーによる。アームを動かすのは油圧シリンダーである。油圧なので環境条件が厳しい場所でも影響を受けにくい。油圧制御弁をうまく操作制御して全ての動作が細かくコントロールできる。油圧はホースによって重機の各部に送られる。重機のメーカーでは、コマツ、日立など日本企業が世界でも高く評価されている。