日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

438.「切り絵」「切り紙」「紙切り」

 書店に行くと、「切り絵」と書かれた本と「切り紙」と書かれた本とが並んでいる。どうやら、紙を折りたたんでから切り込みを入れ模様をつくって、それを開いてできあがるのが「切り紙」と呼ばれるようだ。この場合、模様や文様や図案などが多い。一方「切り絵」は、紙を切ることによって人物や風景などの絵を完成させる方法でつくられた絵画に近いものをさす。日本きりえ協会ではひらがなで「きりえ」と呼んでいる。一部では特に繊細な切り絵を「剪画」と呼ぶ人たちもいる。一方寄席において、ハサミを用いて目の前で白い紙を切って、黒い台紙に重ねてシルエット状に見せるものは、「紙切り」と呼ばれる。下絵もなしに切っていくのは、見事な芸である。中国においては、昔(1000年前)から伝統的につくられている民間芸術としての切り絵があり、これは現在「剪紙」と呼ばれ、一部では「刻紙」とも呼ぶ。そのテーマは十二支や動物や植物や物語などさまざまである。赤や青などに染色された、非常に薄い紙を切った作品が多い。日本では昔から着物生地に模様を染色するのに「型紙」を用いてきた。有名なものに「伊勢型紙」があり「型友禅」も同様である。刃物を用いて紙を切って模様をつくる点で類似しているが、目的は全く異なる。この場合は、油や柿渋などで補強された和紙が用いられ、繰り返しの抜き模様などを彫り抜くことが多い。これが捺染の型紙になる。