日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

437.4浮世絵の歴史

 浮世絵とは、江戸時代に発達した風俗画の一様式で、木版画の技術を用いて、人々の日常の生活や風物や人物や風景などを描いたものである。江戸の大衆メデイアとして広く庶民に愛された。現在は一般に多色摺りの木版錦絵のことを「浮世絵」と呼ぶ。最初の浮世絵師は、「見返り美人図」で知られる菱川師宣とされる。最初は絵本、読本の挿絵を描いていたが、絵の部分のみを抜き出して独立した「墨摺りの一枚絵」(これは黒一色)を描くようになった。やがてこの単色墨摺り絵に、筆と絵の具を用いて彩色したものが喜ばれるようになる。いわゆるカラー化であるが、これは高価であった。江戸中期になって、色版による重ね摺りの多色木版技術が生まれた。こうしてカラフルな多色摺りの浮世絵誕生である。ここで重要な発明が「見当」(多色位置合わせの手段)である。1765年ごろ、鈴木春信が多色摺りを考案したとされる。まず題材になったのは、「美人画」と「役者絵」、今で言えばブロマイド写真である。多色摺り木版技術が進歩して量産化で価格が安くなった。次に風景画もつくられるようになった。これは観光スポットを紹介する旅行雑誌のようなもの。東海道五十三次などが広く普及した。