日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

431.車輪の発明

 自然界・生物界において、移動などに「回転輪」を用いているものは、ほぼ存在していない。人類にとってあらゆる時代を通して最も重要な機械的発明、それが「車輪/回転輪」である。水車からジェット機まで私たちが日常的に使っているもののすべてが、何らかの形で「車輪/回転輪」に依存している。回転輪を最初に利用したのは古代メソポタミア人と考えられている。彼らは紀元前3200年頃には戦車をつくり出している。ちなみに、マヤ・アステカ・インカはいずれも高度に発展した文明であるが、「車輪/回転輪」は使われていない。「車輪/回転輪」を用いた荷車や馬車を使えば、摩擦を大幅に軽減でき、速度が速くなり、方向を変えるのも容易になる。こうして荷物を運ぶための労力低減に大きな効果をもたらした。それに対応して道路が整備されるようになる。また「回転輪」を利用して動力を得る方法を開発した。最初は水車や風車であったが、産業革命において、蒸気を利用してそれまでよりずっと大きな動力を得る技術を得た。今や身の周りを見れば多くの製品がエンジンや電動モーターによる回転を利用している。水車や風車を回転させる発電や、タービンを回転させる発電は「電力」を生み出して、私たちの豊かな生活をもたらしている。