日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

419.伝書バト

 今や大変な情報化社会になり、大量の情報がデジタル化されて有線・無線で世界中をかけめぐっている。こうした手段がなかった時代のアナログ的な情報伝達送信に大活躍したのが「伝書バト」であった。紀元前のギリシャ古代五輪でも、優勝者の速報にはハト(鳩)が使われていたから、歴史は古い。特に活躍したのが第一次世界大戦である。日本陸軍は1919年にフランスから軍用鳩1000羽と移動鳩舎などを輸入してこれを利用した。旧日本軍は結局1945年の敗戦まで他の手段と合わせてハトを活用した。1923年の関東大震災では、他の情報伝達手段が壊滅した中で、約2000羽の鳩による通信が頼りにされた。朝日新聞社は大阪本社で200羽の鳩を飼い、1928年以降の甲子園野球大会では、大会期間中鳩便が計160回にわたり原稿、写真、イラストなどを球場から大阪に運んだという。人では1時間20分かかったがハトは12分だったという。それにしても鳩の帰巣本能はすばらしい。