日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

418.生物の飛行

 飛行する生物の運動メカニズムが、ほとんど画一的に羽ばたき飛行であり翼の形もよく似ているのは、生物が飛行するための条件が極めて厳しく限られたものであることを意味している。アホウドリはグライダーのように大きなアスペクト比の翼をもって、できるだけ少ないエネルギーで遠くまで飛べるような体になっていて、非常に優れた滑空性能をもっている。一方でイヌワシは、小さいアスペクト比の翼と大きな尾羽を有して、木々の間を飛んだり急旋回や急降下ができるようになっている。鳥たちは自由な飛行を得るために、羽ばたくことで推力を生み出している。その羽ばたきも、下向きに動かした翼は必ず今度は上に戻さなければならないが、同じように戻したのではせっかくの水平飛行メカニズム効果が打ち消されてしまう。鳥たちは打ち下ろしのときと戻しのときとで翼の形や角度を巧みに変えることで、見事な飛行を可能にしている。鳥の場合は飛行機と類似した翼を活用するが、昆虫の場合は非常に薄い羽を高速で羽ばたかせている。かつての恐竜時代には最大翼幅12mという巨大な「翼竜」が空を飛んでいたというが、なかなか信じがたい。