日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

47.化石燃料と石炭

 人類はかつて薪や木炭を燃料として使ってきました。中国やギリシャでは紀元前から石炭を使っていたという記録があります。1700年代以降、ジェームス ワットの蒸気機関やアメリカで作られた蒸気船、そして製鉄業など多方面で燃料として石炭が使われました。まさに石炭が産業革命に大きな役割を果たしたので す。日本でも三池炭鉱や常磐炭鉱など多くの炭鉱が開発されました。
 石炭は可採年数が化石燃料の中で最も長く、価格安定性、供給安定性から、世界 中で今も利用されています。ちなみに発電量のうち石炭が占める割合で見ると、中国は79%、アメリカでも49%を占めています。世界最大の石炭生産国であ る中国は、今では石炭輸入国になっています。
 20世紀になると石炭から石油への転換が進みました。1950年代に中東やアフリカで大油田が次々 と発見されたのです。しかしこうした化石燃料は炭化水素資源であるため燃焼でCO2が発生します。特に石炭は炭素比率が高いことからCO2発生量が多いこ とが問題になっています。そこで日本では石炭を用いてCO2発生量を抑えるいろいろな技術が開発されています。たとえば蒸気条件の高温高圧化によるUCS などで、石炭による発電効率は世界トップの位置にあります。