日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

40.ヘンミ計算尺

 先日実家の古い机の中から、私が学生時代に使っていた「計算尺」を発見しました。
 私の大学生時代「電卓」などは見かけることがなく、あっても高価でとても手に入るものではありませんでした。そこで理工系の学生はみんなアナログ式の計算器具である「ヘンミ計算尺」を持っており、それで計算をしていたのです。
 a×b=cが成り立つときlog a+log b=log c。計算尺は、この対数の性質を利用して掛け算や割り算がすみやかにできるように工夫され、比例、平方、立法、三角関数、対数などの計算も可能という便利な器具です。
  構造は「固定尺」「滑り尺」「カーソル」の3つからなるシンプルなものです。1620年にイギリスの天文学者ガンターが対数尺度にコンパスを当てて計算す るガンター尺を発表しました。1633年にこのガンター尺に改良を加えて2本の尺度をスライドさせる形が作られました。これが計算尺の原型とされていま す。 1894年、近藤、広田の両氏が、フランスで購入したマンハイム型計算尺を持ち帰り日本に紹介しました。翌年逸見(へんみ)治郎が製作研究を開始し て、1909年に竹材を使った計算尺を完成させました。「ヘンミ計算尺」の誕生でした。
 しかし1975年に計算尺は製造中止となってしまいました。電卓に駆逐されてしまったのです。今では全く見かけなくなってしまいました。
(東北リコー最後の「1分間で読める話」になります)