日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

34.ミシン

 昔ならどこの家にも必ず1台はあったミシンですが、最近はあまり見かけなくなりました。今は自宅で衣類を縫ったり補修することもなくなったのでしょう。私の実家には今も、母が使っていた古い足踏み式のミシンが残されています。
 日本に商業ベースでミシンがもたらされたのは1868年です。それは手回しはずみ車方式の輸入品でした。次に足踏み式ができました。これは足踏み板の上下運動をクランクを介してホイールの回転に変換する方式で、両手が使えるという優れものでした。
 1901年にアメリカのシンガー社が日本に進出して市場を拡大し、やがて市場を独占しました。1921年に日本でパイン裁縫機械製作所が創業して、そこの小瀬は市場シェア80%のシンガー社に国産で挑戦することを誓います。
 努力の結果、小瀬はついに1929年に家庭用標準型で初の国産ミシンを開発しました。しかし販売は容易ではありませんでした。この会社が後の「蛇の目ミシン工業」です。蛇の目は1979年には世界初のマイコン制御ミシンを発売し、多彩な刺繍機能を搭載しました。
 現在家庭用ミシンでシェア世界一を誇るのはこの「蛇の目ミシン工業」であり、工業用ミシンでシェア世界一は日本のJUKIですから、日本の精密機械技術がミシンでは世界一になっているといえます。