日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

22.生物の教科書と教育

 高校生物の教科書が大きく変わりつつあるそうです。これまで私たちは「生物1」教科書で、遺伝に関しては「メンデルの法則」つまり1865年にメンデル が発表したエンドウマメの交配実験から学習を始めたものでした。もちろん生物の教科書は、このメンデルの実験に多くのページを割いていました。しかし、も はや遺伝はDNAで説明がつく時代になりました。これまで「生物」では、教科書が学問の進歩に追いついていないとされていたのです。新しい「生物基礎」教 科書では、生物の進化についてDNAの塩基配列によるしくみの説明に力点を置いているそうです。
 2003年にヒトゲノム(全遺伝情報)が解読されました。ヒトもバクテリアもDNAを持ち、全生物はたった4種類の塩基配列によって遺伝情報が形成され、塩基配列のわずかな違いによって多様性を生み出していることが明らかになったのです。
  4種類とは「A:アデニン」「G:グアニン」「T:チミン」「C:シトシン」です。2009年に学習指導要領が「ゆとり教育」から「学力向上重視」へ改定 されて、教科書に高度な内容を盛り込むことが可能になりました。科学技術立国を担う子供たちの育成をめざして、理科教育は見直しが進められているのです。