日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

19.紙おむつ

 その昔、母親になる女性は妊娠がわかると、赤ちゃん用の布おむつを木綿布を縫って一生懸命作ったものでした。私の妻も布おむつを縫いました。しかし現在 では「紙おむつ」という大変便利なものができたため、日本では99%が紙おむつを使っているそうです。紙おむつがこのように便利に使われるようになった陰 には、「高分子吸収体」の開発が大きく貢献しています。高分子吸収体は、自分の質量の50~100倍もの水分を吸収して、ゼリー状にかためてしまうことが できます。
 紙おむつはスウェーデンで最初に考えられました。それは綿花不足で材料の木綿布が手に入らなかったことによります。日本では1950年代から登場しましたが、当時は使い捨ての文化がなかったため普及しませんでした。
  1980年代になって女性の家事労働を減らすことが重要視されるようになり、1983年に紙おむつに高分子吸収体が使われるようになると、一気に広がって いきました。高分子吸収体は、デンプン系、セルロース系、ポリビニルアルコール系などいろいろな種類がありますが、現在その性能と価格で最適とされている のはポリアクリル酸ナトリウム系とされています。
 (1)浸透圧:吸い込む力(2)親和性:浸み込む力(3)架橋密度:保持する力の3つの力が重要です。高分子吸収体は、浸透圧を利用するので純水に比べて食塩水などになると吸水量は減少します。