日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

788.シロアリとアリクイ

 以前から不思議に思っていることがある。南米に住むオオアリクイは全長が1.5から2mにもなる体を持つが、その主食は「アリ」特にシロアリである。ちっぽけなアリを食べるだけでどうして大きな体を維持できるのだろうか?シロアリは木材を主食とする昆虫で、地球上で最も数の多い昆虫ともいわれる。シロアリはアリではなくゴキブリの仲間で、この地球上に2500種がいる。シロアリはこの地球上に1億5000万年前から存在する。他の生物が消化できない木材を栄養にできる貴重な存在だ。シロアリの消化管内には原虫という小さな生物が共生している。その原虫にさらに小さな微生物がとりついて、連携して木質繊維を栄養分に変える。山の倒木などを土に返す森の分解者であり、自然の生態系にとってなくてはならない。ところでアリクイは、60センチにもなる細く長い舌をもち、粘着質の唾液で包まれたこの舌を高速で動かしてシロアリを捕食する。1分間で150回も舌を出し入れし、1回の食事は1分で終える。こうして一日に200か所のシロアリ巣で早食いをくりかえす。そして一日に3万匹ものシロアリを捕食する。アリクイの生態はまさに省エネで体温も低く動きも少ない。