日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

757.英国の時計台ビッグベン

 英国の時計台で知られる「ビッグベン」は、19世紀ビクトリア朝時代に国会議事堂の一角に建てられた。高さ96メートル、正式名称は「エリザベスタワー」周囲4面に巨大な時計が配置されている。160年にわたって時を刻み続けたのは、重力を動力源にした機械式時計である。つくられた当時(1850年代)は世界で最も正確な時計だった。特別開発の脱進機構を用いた。5分ごとにチャイムが鳴り1時間ごとに鐘が鳴る。13.5トンの重さの鐘を機械的にハンマーが打って音を出す。時計の動力は塔の中心空間を下降する3つのおもりである。このおもりを巻き上げるのは人力だ。塔を上に昇る唯一の手段は内部にある333段のらせん階段である。機械式時計はいつもメンテナンスされてきたが、老朽化が進み2017年から4年にわたる修復作業が行われている。かつて人々は日の出と日の入りを頼りに生活していたが、ビッグベンの時計によって「時間」を用いる産業革命の時代になった。そしてこの巨大な機械時計はきちんと保守されて維持されてきたことに驚く。魅力的なメカの世界がある。