日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

746.信長の安土城

 「城」は敵の攻撃から守るための要塞である。織田信長以前における「城」とは、山の地形を生かした「山城」のことであった。すなわち高い石垣や天守閣はなく、周囲を柵や土塁や堀で囲った簡素なものであった。NHK「麒麟が来る」の場面に出てくる美濃の稲葉山城がそれである。信長の安土城は、天守閣を中心とする本格的な近世城郭の最初であり、初めて石垣に天守が載った城である。5層7重の天守閣を有する豪華絢爛なものであったという。天守の高さは約32mと巨大であった。天下統一を知らしめる象徴として見せつける意味がある革命的な城であった。1579年に完成したが、1582年に本能寺の変で信長が死んで同じ年に安土城も焼失した。その後城が再建されることはなく、現在は外構、礎石と石垣の一部等が残るのみ。天守の屋根の上に初めて「しゃちほこ」を載せたのも安土城であった。「しゃち」は頭が虎か龍で胴体が魚の中国の空想上の生き物である。尾を鉾(ほこ)のようにそり上げた。豊臣秀吉が信長スタイルの継承した大阪城をつくり、全国で同様の城が建造されていく。