日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

738.一目千本桜

 大河原町から柴田町の白石川沿い約8キロに植えられた1200本の桜並木は、「一目千本桜」と呼ばれる宮城県内随一の桜の名所として知られる。今年もきれいに花開いたが、新型コロナの影響で「さくらまつり」は中止、花見観光客の姿もほとんどなかった。この桜並木は、大河原町出身の高山開治郎の、ふるさとへの思いによるものだ。高山は6人兄弟の長男として旅館を営む家に生まれたが、15歳の時に父が急逝し旅館も廃業する。残された弟や妹を支えるため東京に出稼ぎに出る。やがて新聞社の経営や美術商などの実業家として成功する。そして故郷への恩返しとして川沿いの堤防に桜を植えることを思いついた。1923年に700本、1927年に500本のソメイヨシノ苗木を植えた。投じた私財は現在の価格で7000万円。その桜老木は100年近く経った今もきれいに花を咲かせる。