日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

720.窒素

空気のほぼ8割は窒素であるが、私たちは空気中の窒素を取り込んで利用することはできない。そこで動物の肉や植物を食べることで体内に取り入れている。窒素は生物にとって重要な物質であるが、空気中の窒素は三重結合をしている。三重結合は頑丈すぎてなかなか壊せない。化学反応が起きないためほとんどの生物が直接利用できない。空気中の酸素は二重結合なので結びつきが弱く反応が起こせるので直接利用できている。マメ類と共生する根粒菌は、空気中の窒素の三重結合を切る力を有する。だが他の作物は窒素を含む肥料がないと育たない。かつての日本では人糞などが窒素肥料となっていた。人口の増加で、農業において大量の肥料用窒素が求められるようになる。これを解決したのが20世紀初頭にドイツで開発された技術(ハーバーボッシュ法)である。すなわち高温高圧下で三重結合を切ってアンモニアを合成する。この手法のおかげでたくさんの化学肥料を作ることができるようになり、現在の農業がある。ただしこの方法は莫大なエネルギー消費と二酸化炭素排出になる。2020.04.01