日本技術士会東北本部

文責 : 東北本部技術士 佐藤

650.製鉄の工程

 国内鉄鋼最大手の新日鉄住金が社名を「日本(にっぽん)製鉄」に変更した。さて専門的な話で申し訳ないが、製鉄工程について。製鉄所のシンボルといえるのが高さ50mにもなる「高炉」である。酸素と結びついて自然の状態になっている鉄鉱石を、コークスと一緒に高炉の上部から入れる。コークスとは石炭を材料とした炭素のかたまりである。それらは50mの高さから2000℃の高炉に落とされる。高炉の中では下から超高温の酸素ガスが噴き上げられている。鉄鉱石とコークスは、熱風を受けながら50mの高さを数時間かけてゆっくりと落ちていく。高熱により鉄鉱石は溶けてドロドロになる。まず酸素とコークスの炭素が結びついて一酸化炭素が発生する。一酸化炭素はより安定した二酸化炭素になろうとして、鉄鉱石の酸素と結びつくため鉄だけが残る。発生したガスは上部に抜けて、溶けたドロドロの鉄が高炉の下部に落ちる。この鉄を取り出して、転炉によって強く加工しやすい鉄に変える。こうして「製鉄」が行われる。なお高炉は、熱をさまさないために24時間365日休まず稼働している。