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31.菌類の話   2013年5月7日

 私たちの周りには肉眼では見えない小さな生物がたくさんいます。それらは微生物と呼ばれ、特に「細菌」「古細菌」「真菌」と呼ばれる菌類は、私たちに とってあるものは有益に作用し、あるものは危険な存在です。ここでウイルスは生物とみなされないので除外します。ちなみに私たちの腸内にも、500種類 100兆個もの細菌が住んでいるそうです。
 「細菌」は大きさが1000分の1ミリ前後で、約8000種類が見つかっています。有用なものとしては「乳酸菌」や「納豆菌」などがあり、危険なものとしては「コレラ菌」「ペスト菌」などがあります。分裂を繰り返しながら仲間を増やしていきます。
  「真菌」には「酵母」や「コウジカビ」などがあり約10万種類が見つかっています。水虫は白せん菌という真菌です。1929年に青カビから抗生物質ペニシ リンができたように、有用なものが潜んでいる可能性があり、世界中で医薬品や健康食品の開発に役立つ新種の微生物探しが進められています。
かつては欧米の人たちが、南米やアフリカなどで各種の細菌を見つけて自国に持ち帰りましたが、今では現地国の許可なしには持ち出せないように保護されています。

30.携帯電話の電波   2013年4月30日

 この世界は実は電波だらけです。電波は目に見えませんが可視光の仲間であり、その速度は光と同じ秒速30万キロです。一般に、1秒間に3000から3兆 回振動する電磁波を「電波」と呼んでいます。多くのモバイル通信に使われているのは300M~3000MHzの極超短波と呼ばれるものです。この周波数の 電波はアンテナを小さくすることができますが、あまり遠くまで届きません。そこで半径2~5キロ範囲をカバーする多数の中継基地局を設置しているのです。
 周波数の高い電波ほど、送れる情報量が多くなりますが大気中で散乱されやすくなり、逆に周波数の低い電波では遠くまで届きやすいが情報量が少なくなるという特徴があります。
  ケータイ電話に割り振られている電波帯は、「700M~900MHz」と「1.5GHz」と「1.7GHz」と「1.9/2GHz」の4つがあり、それぞ れが更に業者別に割り振られています。プラチナバンドというのは、「700~900MHz」を使って山やビルを回りこみやすくしているためつながりやすい と言われます。
 ケータイ通信の方法では第一世代がFDMA方式、第二世代がTDMA方式、第三世代がCDMA方式、そして第3.9世代がOFDMA方式となり、進化してきています。OFDMA方式が今宣伝中の「LTE」と呼ばれるものです。
ちなみにデジタルテレビは「470M~770MHz」を使用しており、BS放送は12GHz付近を使っています。

29.紙メディアと電子メディア   2013年4月25日

 紙は、紀元105年に中国で製法が体系化されて以来何世紀にもわたり、情報を記録し保管する機能と、記録された内容を表示する機能の両方を、単独で担っ てきた優れものです。実際、ほんの20年ほど前まで社内では、業務報告書も図面もファイルとして紙データで保管されていました。しかし情報を大量に記録す るには大量の紙が必要になり、大量の保管スペースが必要になるということで、情報量が増大するにつれてこうした紙の欠点が明らかになってきました。
 そこで紙の持っていた「情報の記録」という機能は、どんどん電子メディアに置き換わってきました。情報の記録・保管さらに検索性に関しては、明らかに電子メディアの方が優れているのです。
  電子メディアの場合には、情報を記録・保管する機能と保管された情報を表示する機能が分離されているという特徴があり、それゆえに記録機能自体を人が認識 できる必要がないので、どこまでも高密度化ができるという点に特徴があります。しかし情報を表示するためには何らかの装置を必要とします。
 電子メディアが増大していますが、国内で「紙」の生産量はほぼ横ばいにあり、極端に使用量が減ったわけではありません。「紙」と「人」の間には「読む」という行為しか存在しませんから、紙ほど人に優しい情報メディアはないと思えるのです。

28.火とマッチ   2013年4月22日

 人類が火を利用することはおよそ150万年前から行われていたとされます。そして木と木をこすり合わせることや石同士を打ちつけるという方法で発火させる技術を生み出しました。発火方法を大別すると「摩擦法」「打撃法」「圧縮法」「光学法」「電気法」になります。
  マッチの起源は、1827年にイギリスの科学者ジョンウォーカーが発明した「摩擦マッチ」であるとされています。しかしこれは普及せず、1831年になっ て頭薬に黄リンを用いたものが広まりました。黄リンは自然発火事故が起こりやすかったので、次に赤リンマッチが作られました。1852年にスウェーデン で、箱側面の摩擦面とこすらないと発火しない「安全マッチ」が発明されました。これは、頭薬中の塩素酸カリとヤスリ側面の赤リンが摩擦することで赤リンが 細かな発火を起こし、頭薬の硫黄に燃え移るというしくみです。
 日本でマッチが普及するのは明治維新以後であり、金沢藩藩士の清水誠がマッチ製造 法を研究してマッチ工場を誕生させて生産を開始したのが国産最初です。現在姫路地域が国内シェアの8割を生産しています。なお軸木には火が燃えやすいアス ペンという材料が用いられており、中国などから輸入されています。

27.ボーイング787   2013年4月18日

 最新旅客機ボーイング787が、バッテリーに関するトラブルを連続的に発生させて、現在は運航停止状態になっています。
 787ドリームライナーは、アメリカのボーイング社が開発した最新鋭機であり、座席数が約250の中型機です。全日空が2011年10月に世界で初めて営業運転に使用を開始しました。
 787の機体は主に炭素繊維強化プラスチックで軽量化をはかっており、空力特性改善やエンジン性能向上などもあって、燃費がB767よりも2割向上したとされます。最大航続距離もB767より4割延びて、日本から片道1万キロのニューヨークに直行できます。
 部品全体の35%は日本製とされ、今回問題になっているバッテリーも、GSユアサ製のリチウムイオン電池です。主翼は三菱重工業が製造しており、B787に使用される炭素繊維は全て東レが製造しています。エンジンはロールスロイス社製とGE社製が使えるそうです。
 B787は世界で約50機が飛んでおり、全日空が17機、日本航空が7機と日本の2社だけで半分を飛ばしています。今後の主力機と期待されていますが、今回のトラブルが大きなブレーキになっています。全日空では既に66機を発注しているそうです。

26.光とは何か?   2013年4月15日

 通常感じていませんが、生物が生きていくために光は欠かせない存在です。17世紀後半になってニュートンが、プリズムとスペクトルの研究から、光には実はさまざまな色の光があり白色光はそれらが重なりあったものであることを発見しました。
 またニュートンは「光は粒子である」という説を発表しました。しかしホイヘンスは1690年に「光は波動である」という説を発表したのです。現代では光は粒子と波動の両方の性質を持つとされています。
 19世紀中ごろになって、ついにマクスウエルが「電磁波理論」を完成させ、光は電磁波の一種であることを証明しました。1888年には光電効果が発見されて、アインシュタインは光量子仮説を提唱します。
  もともと光に色がついているわけではなく、各波長に応じて人間の脳が青とか赤とかの色を感知しているに過ぎません。色は光の波長に対応した人間特有の感覚 に基づく量です。物体は高温になると光を発します。その発光スペクトル分布は温度によって異なりますが、物質の種類には依存しません。刀鍛冶が色によって 温度を判断できるのはこのためです。
 数1000度という高温の物質からは可視光線が放出されます。白熱電球はこれを利用したものです。原子において外側にある電子が内側に移動すると、光を発します。

25.iPS細胞誕生のドラマ   2013年4月11日

 ノーベル賞を受賞した山中博士の下で、iPS細胞を作り出したのが高橋博士です。2005年の時点で山中グループは10万個もある(この当時)と言われ た遺伝子の中から、この遺伝子を入れたらiPS細胞ができるかもしれないという候補を、100個程度まで絞り込んでいました。
 当初はとにかく 100個の遺伝子全部をしらみつぶしに1個ずつ試してみようと思ってスタートしたといいます。高橋博士は特に可能性が高そうな24個を選び、それぞれを1 個ずつ入れた培養皿を作ったのですが、そのときついでに24個の遺伝子全部を入れたプレートを1個余分に作ったのだそうです。
 すると2週間後に、ついでに作った24個全部を入れた培養皿だけが、もこもこと細胞が増えているのが見えたのです。そこで次に1つずつ減らす実験をした結果、初期化に必要な4個の遺伝子を突き止めました。
しかし当初は誰にも信じてもらえなかったといいます。それはiPS細胞を作る方法が研究者たちが想像していた複雑なプロセスではなく、たった4個の遺伝子を入れるだけという簡単な方法だったからです。
 こうして2007年11月山中博士はヒトのiPS細胞を作製したと論文を発表しました。全く同じ日にトムソン博士も論文を発表したのでした。

24.牛と微生物   2013年4月8日

 牛は人類の歴史の中で、常に身近な動物として存在しました。紀元前5000年頃、ヨーロッパではすでに牛を飼い慣らし家畜として利用することが行われて いました。不思議なのは、草しか食べない牛が、なぜあのようなタンパク質の巨体をつくれるのかということです。その秘密は牛の胃袋にありました。植物を構 成しているセルロースを人間は分解できませんが、牛はこれを分解する発酵工場を自分の胃の内部に持っているのです。牛には胃が4つあります。
 特に大きな第一胃は、微生物に最適な状態のまるで発酵タンクになっています。牛の胃には、セルロースを分解して栄養とする微生物が牛と共生関係を結んでいて、牛は微生物に生息環境と植物体を提供するかわりに、微生物の分解物を利用してタンパク質を作っているのです。
 牛は自然界に適応していくために独自の胃を持って、実によくできたシステムを形成して進化してきました。このような微生物(細菌)が、実は私たちヒトの腸内にも多数存在しています。人間の体内に住む常在菌の数は体を構成する細胞数の10倍にものぼると言われます。

23.プリントゴッコ事業終了   2013年4月4日

 我々の競合である理想科学工業の名前を一気に世間に知らしめた、記念すべきヒット商品の「プリントゴッコ」ですが、2012年12月をもってついに理想科学は35年間に及ぶこの事業を終了させました。若い人にはなじみがないでしょうが。
 年賀状印刷において一つの時代を創ったすばらしいアイデア商品でした。「プリントゴッコ」という名前は、当時の社長羽山昇が皆の反対を押し切って命名したものです。1977年9月にプリントゴッコB6は発売されました。
  家庭で誰でも手軽にカラー印刷の年賀状が作れるということから、年賀状印刷の季節になると日本全国で販売推進が進められ、購入されていきました。カーボン 筆記原稿にピカッと光るフラッシュ光を当てて、その発熱によりマスタフィルムに穿孔製版し、次にそのマスタに色とりどりのインクを載せてはがきの上に押し 当てるだけでカラー印刷ができるという優れものでした。
 1996年には累計販売台数1000万台を達成しました。しかし時代の変化は厳しいものでパソコンとカラープリンターの普及により競争力をなくして、2008年に本体の販売を終了し、このたびサプライとサービスも終了になったのです。

22.生物の教科書と教育   2013年3月29日

 高校生物の教科書が大きく変わりつつあるそうです。これまで私たちは「生物1」教科書で、遺伝に関しては「メンデルの法則」つまり1865年にメンデル が発表したエンドウマメの交配実験から学習を始めたものでした。もちろん生物の教科書は、このメンデルの実験に多くのページを割いていました。しかし、も はや遺伝はDNAで説明がつく時代になりました。これまで「生物」では、教科書が学問の進歩に追いついていないとされていたのです。新しい「生物基礎」教 科書では、生物の進化についてDNAの塩基配列によるしくみの説明に力点を置いているそうです。
 2003年にヒトゲノム(全遺伝情報)が解読されました。ヒトもバクテリアもDNAを持ち、全生物はたった4種類の塩基配列によって遺伝情報が形成され、塩基配列のわずかな違いによって多様性を生み出していることが明らかになったのです。
  4種類とは「A:アデニン」「G:グアニン」「T:チミン」「C:シトシン」です。2009年に学習指導要領が「ゆとり教育」から「学力向上重視」へ改定 されて、教科書に高度な内容を盛り込むことが可能になりました。科学技術立国を担う子供たちの育成をめざして、理科教育は見直しが進められているのです。