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745.住民登録の話   2020年10月31日

 住民基本台帳は年金や税金などのデータとつながる地方行政の要である。日本では7世紀から戸籍制度があり、最古の住民台帳は奈良の正倉院にあり、氏名、年齢、続柄なのが記載されていた。太平洋戦争が始まる直前の1941年に、町会が全戸調査によって世帯台帳をつくり、それを基にして家庭用米穀通帳が配られてコメの配給が始まった。生活物資の配給のために、だれがどこに何人で住んでいるかを知る必要が出たのだ。塩、味噌、しょうゆも配給制になり台帳は重要になる。もうひとつは戦争のための徴兵にも活用されることになる。世帯台帳は町会から市町村に引き継がれ、配給だけでなく選挙や就学、徴税などに利用されるようになる。ただこの頃はほとんどが「申告による登録作成」であり、重複登録や偽造登録があって正確性に劣っていた。そこで戦後1951年に住民登録法が施行され、「国民の全部をその住所で世帯ごとにつきとめる」住民登録制度が始まった。現在はマイナンバー制度が始まっているが国民には徹底していないようだ。

744.ルーブル美術館とモナリザ   2020年10月30日

 パリの中心部セーヌ川のほとりに建つのが「ルーブル美術館」である。ここには68万点の至宝が収められており、最大展示室グランドギャラリーは350mに及ぶ美の回廊である。500年前フランスは文化面でイタリアに後れを取っていた。ルーブルコレクションの起源とされるのが、レオナルドダビンチの「聖アンナと聖母子」であるが、これをフランスに導いたのはフランソワ1世である。フランソワ1世は芸術の力で国づくりをめざし、イタリア、ルネサンス芸術作品を集めていく。1536年にはレオナルドダビンチをフランスに招く。1539年にダビンチは亡くなるが、この天才の死は王のコレクションに「モナリザ」を加えることになった。この作品こそダビンチが身近に持ち続け筆を入れ続けた名画であった。フランソワ1世はその生涯をかけてルネサンスをフランスに定着させようとした。その結果、それまで数ある城のひとつにすぎなかったルーブルが、芸術の宮殿へ姿を変えた。

743.法隆寺金堂の壁画   2020年10月29日

 世界遺産「法隆寺」の金堂では、仏像たちの周囲を高さ3mという大きな壁画が囲んでいる。「金堂壁画」と呼ばれる12面の仏教絵画である。実は過去に多くの画家たちが模写を描いてきた。その金堂で、昭和24年1月に出火し、壁画は焼損し無残な姿になった。原因は模写作業中の暖房消し忘れとされた。当時仏像は別の場所にあって無事だった。明治時代には絵師桜井香雲がシミもキズもそのままに12面を2年かけて模写した。大正時代には、仏画に人生を捧げた鈴木空如が12面を実物大で3回模写した。彼らは暗い中でろうそくの灯を頼りに描いた。昭和15年になって模写事業が始まった。このときは初めて蛍光灯が使われた。だが戦争で中断する。昭和42年になって壁画再生プロジェクトがスタートする。42分割のガラス乾板写真があったので、それを用いて日本画家たちが壁画再生に取り組んだ。こうして昭和48年に完成した再生壁画は、法隆寺金堂に納められた。実は焼けてしまった壁画も収蔵庫に収納してある。

742.病原体の検査方法   2020年10月28日

 新型コロナウイルスでPCR検査などが話題になっている。病原体の検査方法には大きく4種類がある。最も歴史的に古くシンプルなのが「顕微鏡での観察」であり、顕微鏡を使って病原体そのものを直接に見る。ただ観察できる病原体の大きさに限界があり、ウイルスは光学顕微鏡では観察できない。病原体への感染を間接的に知る方法に、「抗原検査」と「抗体検査」がある。どちらも人体が病原体を排除するための免疫反応を応用する。抗原検査は患者のたんや尿に「抗原」があるかどうかを調べる。抗体検査は患者の血液中の「抗体」の有無を調べる。ただ抗体や抗原は別の病原体でも反応する場合があり、抗体検査は過去の感染歴はわかるが診断には不向きである。4つめが「遺伝子検査」で、PCR検査もその一つである。専用の機械を使い病原体を増やしてその遺伝子配列を検出する。時間がかかるが他の方法より高感度とされる。1985年に米国のキャリーマリスがPCR法を開発し90年代から臨床検査に応用されてきた。

741.信長の父、斎藤道三   2020年10月27日

 NHK大河「麒麟が来る」では、本木雅弘さんが本気で演じる斎藤道三が私は好きだった。乱世にその名をとどろかせ「マムシの道三」とおそれられた。道三が大名として治めたのが交通の要衝美濃であった。それ以前に美濃を治めていたのは土岐氏であったが、道三は家督争いでもめた際に土岐頼芸(よりのり)側について活躍。その結果稲葉山城(現岐阜城)を手に入れた。道三は娘の帰蝶を土岐頼純(よりずみ)に嫁がせるが、よりのりは1年後に24歳で亡くなる。次に帰蝶を嫁がせた相手は頼純の弟だが、それも自害して果てる。土岐一族は次々と命を落とし、頼芸一人になる。こうして頼芸は美濃を追われ、ついに道三は美濃を手に入れた。道三が帰蝶の三度目の嫁ぎ先に選んだのが織田信長であった。尾張の信長は「うつけ」と言われる15歳の若者だったが、道三は信長を評価した。ワンマン道三には家臣の中にも反対する者が多く、家臣たちは息子義龍を支持する。義龍は道三側の弟二人を殺害、道三は2000の兵で義龍側1万7000と戦うが、敗れて1556年63歳で討ち死にする。1567年になって信長は稲葉山城を攻め落とし、岐阜城と名を変える。

740.日本人のお名前「山田太郎」   2020年10月26日

 平凡な名前といえば「山田太郎」「山田花子」であろう。山田=平凡な苗字、と思うが、全日本苗字ランキングで山田は12位である。全国1896の市区町村に確認して、申請書の記載例の欄に何とあるかを調査した。すると意外にも「山田」は1%もなかった。7割ほどを占めたのが「自治体名+太郎」といったものである。「山田太郎」はどうして平凡になったのか?1972年に連載が開始された野球マンガ「ドカベン」の影響がある。作者水島新司によれば、それまで目立たなかったキャッチャーを主役にするのに、主人公以外を珍しい名前にして主人公だけを平凡な名前にしたという。1946年に昭和の名曲「新聞少年」を歌っていた歌手が「山田太郎」である。高度経済成長期、地方から出て新聞配達をしながら学ぶ少年にみんなが共感をもって、歌と歌手名が有名になる。日本の原風景である「山」と「田」に「太郎」をつけて芸名にしたという。それ以降「山田太郎」が標準的な名前になった。

739.タワーマンション   2020年10月25日

 東京などの大都市には今ではタワーマンションが立ち並び、現在も新たに建設が進んでいる。互いに見知らぬ多くの家族が一つの建物の中で生活する「集合住宅」歴史のきっかけとなったのが、東京五輪1964年頃からできた「ニュータウン」であった。そして核家族を中心とした新しいライフスタイルが始まる。ニュータウンができれば、新たに鉄道が敷かれ学校やショッピングセンターができた。ニュータウンの総数は全国2000か所にのぼった。そこから50年ほど経た今、高齢化とスラム化が課題になっている。子どもたちは巣立っていき老夫婦が取り残された。配偶者が亡くなれば孤独高齢者が残される。現在は新たに「タワーマンション」が増えてきている。20階以上の鉄筋コンクリート集合住宅を指す。21世紀になってから都心の交通至便の場所に林立し始めた。全国で1400棟約36万戸が建設されている。特に東京都での集中が激しい。都心部のタワーマンションは資産価値が高いので、投資目的での購入者が3割を占めるという。日本は人口減少が進んでいるのに、都内には次々とタワーマンションが建設されて飛ぶように売れる「不思議」。

738.一目千本桜   2020年10月24日

 大河原町から柴田町の白石川沿い約8キロに植えられた1200本の桜並木は、「一目千本桜」と呼ばれる宮城県内随一の桜の名所として知られる。今年もきれいに花開いたが、新型コロナの影響で「さくらまつり」は中止、花見観光客の姿もほとんどなかった。この桜並木は、大河原町出身の高山開治郎の、ふるさとへの思いによるものだ。高山は6人兄弟の長男として旅館を営む家に生まれたが、15歳の時に父が急逝し旅館も廃業する。残された弟や妹を支えるため東京に出稼ぎに出る。やがて新聞社の経営や美術商などの実業家として成功する。そして故郷への恩返しとして川沿いの堤防に桜を植えることを思いついた。1923年に700本、1927年に500本のソメイヨシノ苗木を植えた。投じた私財は現在の価格で7000万円。その桜老木は100年近く経った今もきれいに花を咲かせる。

737.新型コロナウイルス   2020年10月23日

 外国にだって気軽に行ける、そんなグローバル社会の常識が突然ひっくり返った。人が動けば病気も動く、新型コロナウイルスも勝手に広がったのではなく人間が広げた。全世界での人類移動範囲が拡大し高速になっているから、ウイルスの拡散地域も急速に広まった。始まりは2019年12月31日中国の武漢市当局が27人の「原因不明の肺炎患者」と報告したこと。1月9日になって中国政府が新型コロナウイルスを検出したと発表。日本でも1月15日に中国人男性の感染を確認していたし、1月21日に米国でも武漢から帰国の男性の感染を確認していた。だがまだその恐ろしさに気付いていなかった。1月23日中国政府は武漢を封鎖する。日本では2月5日にクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号で感染を確認して、その対応に追われる。3月1日米国ニューヨーク州では初の感染者を確認したが、それが4月には感染者数30万人、死者1万8000人と急速に広がった。3月11日世界保健機関WHOがパンデミックを認定する。日本の感染者数は4月に入って急速に増加し、4月10日には5246人、4月30日には1万3929人になった。世界全体では4月30日感染者数は325万人を超える。

736.和牛とWagyu   2020年10月22日

 世界で牛肉の需要は拡大の一途をたどっている。特に中国での需要が大きい。日本の和牛肉は中国でも最高級の肉質とされて大人気である。「和牛」とは、日本在来種に外来種を交配して品種改良した肉専用種で4品種ある。それは「黒毛和牛」「あかうし」「日本短角種」「無角和種」で、実際は「黒毛和牛」がほとんどを占める。和牛はさらに日本で生まれ育っていることも条件だ。現在日本は和牛の遺伝資源輸出を厳しく制限している。だが和牛の遺伝資源流出事体を止める法律はない。豪州や米国といった畜産大国で「Wagyu」と称する食用牛が育てられてその肉が市場に出回っている。1990年代に北海道の畜産農家の男性が100頭を超える和牛を米国に輸出したのが始まりである。今世界で育てられているWagyuの多くはこの男性が輸出した牛の遺伝子を持つ。生きた和牛や和牛の受精卵が世界に広まるきっかけとなった。