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791.カセットテープ   2020年12月26日

 私たちは昔、ダブルラジカセという便利なものがあって、ラジオから第一のカセットテープに録音して、次にそこから部分的に取り出して編集しながら第二のカセットテープに録音するということをやっていた。今ではカセットテープそのものが珍しい存在になっている。磁気テープは100分の1ミリ程度の薄いプラスチックフィルムに、磁性体という磁石が近づくと磁化をもつ性質の小さな粒子が塗布されたもの。音をマイクで電気信号に変えて電磁石からなる磁気ヘッドに接触させながらテープを搬送させることで、信号に合わせてテープの粒子の磁化の向きが変わり、音が信号としてテープに記録される。こうして録音された磁気テープを接触させながら搬送し、テープに記録されている磁気の変化を磁気ヘッドで電気信号に変換し、スピーカーで音にすることで再生できる。実はこの磁気テープは、記録できる量が多く、50年以上長期間保管でき、価格が安く、保管に電気代がかからないことから、頻繁には使わないが大切なデータを確実に保管する用途で今も使われている。米航空宇宙局NASAやグーグルなどIT企業でのデータ保存に使われる。カセットの頃の磁性体は酸化鉄だったが今はバリウムフェライトになって、粒子の大きさは20ナノメートルまで小さくなり、記録できるデータ量も1万2000倍に増えている。

790.国宝「洛中洛外図屏風」   2020年12月24日

 450年前戦国時代の祇園祭の姿を克明に描いた屏風がある。国宝「洛中洛外図屏風上杉本」である。山形米沢の上杉博物館にある。作者は天才絵師狩野永徳、23歳時の作品完成したのは1565年。そこには2485人もの老若男女の姿が驚くほど細かく描きこまれている。屏風は高さ160センチ左右2隻からなり、金の雲の合い間に当時の京都の町のほぼ全てが描かれている。室町幕府将軍の邸宅が描かれ、少年時代の第13代将軍足利義輝とされる人物が描かれている。この足利義輝こそがこの屏風を狩野永徳に注文した人物と考えられている。当時勢力を拡大していた上杉謙信に贈り喜ばせようと、義輝が豪華な屏風をつくらせた。作者に抜擢したのが当時20歳の絵師狩野永徳だった。このチャンスに永徳は情熱の全てをかけて取り組んで京都を描いた。しかし義輝は完成した姿を見ることなく、1565年に配下の武将に殺されてしまう。それを聞いても永徳は筆を止めず、死の100日後屏風を完成させた。その9年後京都の支配者は織田信長になっていた。信長はこの素晴らしい屏風を上杉謙信に贈った。屏風は上杉家代々の家宝となった。それにしてもカメラもない時代に、どのようにしてこれほど正確で精緻で大掛かりな絵を描くことができたのか不思議だ。

789.8時だヨ 全員集合   2020年12月22日

 かつて、テレビの視聴率50.5%という「お化け番組」があった。土曜日夜8時というゴールデンタイムである。日本中の子どもたちが待ちに待った祝祭の時間だった。もちろん私も毎週欠かさず見ていた。「8時だヨ 全員集合」という番組だ。いかりや長介の「8時だヨ」の号令に会場の子どもたちが一斉に「全員集合」と元気に応じて番組は始まる。法被姿のメンバー4人が客席通路を走り抜けて舞台へかけあがる。全編が生放送で、舞台にはいろいろな装置がしかけや装置が盛りだくさんだった。そしてたくさんの音楽と笑いを全国に届けた。1969年10月にスタートした「8時だヨ 全員集合」は、途中で約半年間の休止を挟み、1985年9月まで続いた。16年間合計803回に達した。人気が高かったものの一つに加藤茶と志村けんの「ひげダンス」があった。ドリフターズは1964年にいかりや長介がリーダーに就任する。メンバーは加藤茶、荒井注、高木ブー、沖本工事の4人。後に荒井注が抜けて、代わりに加わったのが、いかりや長介の付き人をやっていた志村けんである。志村けんは新型コロナで亡くなってしまった。「いい湯だな」「ミヨちゃん」「誰かさんと誰かさん」「ドリフのズンドコ節」などのヒット曲がある。なおいかりや長介は後に俳優としてドラマや映画に多く出ているが、2004年に74歳で亡くなった。

788.シロアリとアリクイ   2020年12月18日

 以前から不思議に思っていることがある。南米に住むオオアリクイは全長が1.5から2mにもなる体を持つが、その主食は「アリ」特にシロアリである。ちっぽけなアリを食べるだけでどうして大きな体を維持できるのだろうか?シロアリは木材を主食とする昆虫で、地球上で最も数の多い昆虫ともいわれる。シロアリはアリではなくゴキブリの仲間で、この地球上に2500種がいる。シロアリはこの地球上に1億5000万年前から存在する。他の生物が消化できない木材を栄養にできる貴重な存在だ。シロアリの消化管内には原虫という小さな生物が共生している。その原虫にさらに小さな微生物がとりついて、連携して木質繊維を栄養分に変える。山の倒木などを土に返す森の分解者であり、自然の生態系にとってなくてはならない。ところでアリクイは、60センチにもなる細く長い舌をもち、粘着質の唾液で包まれたこの舌を高速で動かしてシロアリを捕食する。1分間で150回も舌を出し入れし、1回の食事は1分で終える。こうして一日に200か所のシロアリ巣で早食いをくりかえす。そして一日に3万匹ものシロアリを捕食する。アリクイの生態はまさに省エネで体温も低く動きも少ない。

787.冒険家 植村直己   2020年12月16日

 野口健は植村直己にあこがれてアルピニストになったという。植村直己は1960年明治大学に入学し山岳部に入部する。年間130日を山で過ごして自分を鍛錬したという。23歳でフランスへ行き資金を集めるためスキー場でアルバイト。2年後貯めた資金でヨーロッパアルプス最高峰のモンブラン(4807m)へ単独登頂に成功する。1970年には日本人で初めてエベレストに登頂。大学を卒業してわずか6年でアフリカ大陸キリマンジェロ5895m、南米大陸アコンカグア6960m、北米大陸マッキンリー6194mを合わせて5大陸最高峰を世界で初めて全制覇。植村の名前は世界にとどろいた。次にめざしたのは南極大陸の犬ぞり単独横断である。まず3000キロを体感するため稚内から鹿児島まで歩いた。犬ぞりの操縦や極寒の地で生き抜くすべを、グリーンランドイヌイットから学んだ。訓練として(1)グリーンランドからアラスカまで1万2000キロの犬ぞり走破(2)北極点への単独犬ぞり到達(3)グリーンランド3000キロ単独犬ぞり縦断走破、を実行した。いずれも世界初の快挙である。しかし1982年支援を約束していたアルゼンチンが、イギリスと紛争になり(フォークランド紛争)計画はできなくなった。植村は厳冬期の北米マッキンリーに単独で挑戦することにした。登頂に成功するも帰らぬ人となった。この登頂はそれまでの植村らしくないという。彼の言葉に「人間だれでも死ぬのはこわい。だから私はあらゆる準備に時間をかける」がある。

786.クモ(蜘)蛛   2020年12月14日

 世界中には3万種を超えるクモがいる。古くはクモも昆虫に扱われたが、クモ類と昆虫類とは全く別の仲間である。クモ類が昆虫類と異なる主な点は、(1)クモの体は頭部と胸部がくっついた頭胸部と腹部からなる(2)歩脚は4対ある(昆虫は3対)(3)羽根はない(昆虫はほとんどが羽根をもつ)(4)腹部に糸を放出する管を有する突起をもつ。大きさは一般に5~15ミリ。クモは生きている虫であれば何でも食う。生まれて間もない子グモは糸を空中に流して遠くまで飛んでいく。世界のクモのうちおよそ半分は網を張ったりしない。造網クモは視覚が弱く、張った網にかかった虫を振動で知る。こうしたクモの生活を支えているのが糸であり糸をいろいろな用途に用いる。クモはとらえた虫に牙を刺して毒液を注入し、たんぱく質を消化する。そしてこれを吸い取る。クモの糸のもとになる粘液は腹部の器官でつくられ出糸管から出て空気に触れると固まって糸になる。網の張り方に関する情報は遺伝子に組み込まれ親から子へと伝えられる。クモは宇宙船内の無重力でもきれいに網を張ることができた。クモが遺伝情報であれほど見事な網を張ることができるのはすばらしい。またクモの糸は非常に細くても強力だ。

785.「毛細血管」の話   2020年12月11日

 心臓から送り出された血液は、動脈、毛細血管、静脈を通じて体内をめぐる。動脈は酸素や栄養素を血液に乗せて毛細血管へ届け、毛細血管は体の隅々まで細胞に必要な酸素や栄養を届ける一方、二酸化炭素や老廃物を回収して静脈へと受け渡す。毛細血管は全身の血管の99%を占めており、その直径は約5~15ミクロンで、赤血球1個がやっと通るほどの極細になる。血液の速度は毛細血管では、秒速0.5~1ミリとゆっくりになる。血管の長さは地球2周半に及ぶほどだという。毛細血管は手や足に多く集まっている。指先の毛細血管をチェックすることでその健康度を確認できる。そこには極細血管が何本も並んでループをつくっているが、不健康になるとねじれたり、ぼやけたり、消えたりしてしまう。毛細血管のゴースト化という。ゴースト化では体の疲労物質を回収できなくなり体調低下を招く。毛細血管ゴースト化の原因には、(1)紫外線(2)早食い(3)睡眠不足(4)過度な運動(5)ストレスがあるという。
毛細血管の壁は非常に薄く物質の透過性に優れている。酸素と二酸化炭素のガス交換や、栄養素・老廃物の移動はすべてこの毛細血管で行われる。

784.警察と警察官   2020年12月9日

 全国の都道府県には、それぞれ警察本部が設置されている。都道府県警察は「現場」を持って捜査・取り締まりを行う。しかし、東京だけは特別に東京都警察本部ではなく「警視庁」という名称である。各都道府県警察本部のトップは「本部長」と呼ばれる。一方警視庁のトップは「警視総監」である。警察学校で教育訓練を受け、警察手帳や拳銃手錠などを所持して警察活動を行う職員が「警察官」である。警察官は全国に約26万人いる。警察官には法律で決められた9つの「階級」がある。警察官以外の一般職員には階級はない。階級は下から順に、「巡査」「巡査部長」「警部補」「警部」「警視」「警視正」「警視長」「警視監」「警視総監」の9つ。首都東京には警視庁の他に「警察庁」がある。警察庁は全国の警察の総まとめ役の組織であり、そのトップは警察庁長官という。警察庁は直接に捜査をすることはない。ドラマなどでは「刑事」が事件を扱っているが、刑事も同じ警察官である。基本的に制服を着ていない。全国の交番にいる警察官は巡査や巡査部長が多い。各警察署の署長は警視や警視正が多い。ドラマによく出てくる警視庁捜査一課長は警視正である。警視総監はただ一人しかいない。

783.録音した自分の声   2020年12月8日

 自分が話す声をレコーダーに録音して聞いてみると、自分の声ではないように聞こえてしまうのを体験したことがあると思う。周囲の人が聞いている自分の声と、自分が聞いている自分の声とは違うものだ。人間はのどの奥に声帯という、閉じたり開いたりする「ひだ」がある。声を出すときは「ひだ」が閉じていて、肺から来た空気で振動する。その振動を唇や舌を使っていろいろな声にして口から外に出している。こうした声は、音の波として空気を通して周りの人の耳に入り鼓膜を振動させる。その振動が鼓膜の奥にある内耳に届くと電気信号に変わって脳に伝わる。口から出た声は自分の耳にも入る。だが自分の場合はもう一つ、声が頭にある骨に響いて骨が振動して直接内耳に届く。これが「骨導音声」である。普通私たちは「気導音声」と「骨導音声」の二つを同時に聞いている。骨を通ると低い音が強調されて聞こえるという特徴がある。この骨振動を利用した製品の補聴器がある。

782.世界一の潜水艦「イ400」   2020年12月7日

 山本五十六が願った太平洋戦争の終結、そのための切り札として考えられたのが、巨大潜水艦「イ400」であった。戦後原子力潜水艦ができるまでは世界最大だった。全長122m。特徴は格納筒を有して、そこに3機の攻撃機を搭載し、それを艦上発進させることができた。日本海軍の極秘計画であり呉造船所で建造された。技術者たちは困難を極めた。潜水艦の断面形状を∞にして安定性を確保。専用に開発された攻撃機「晴嵐」は、12m主翼を90度回転させてから後方に折りたたみ、水平尾翼垂直尾翼もたたんで、直径4mの筒内に収納可能にした。そして浮上して5分で発進させることも可能にした。「イ400」は米軍のパナマ運河通行を不能にすることを目的にしていた。しかし1944年12月「イ400」が完成したとき、戦局は変わりアメリカ艦隊はすでに太平洋に移動していた。すでに制海権はアメリカにあったが1945年7月「イ400」は出港する。晴嵐には特攻が命じられた。だが敗戦を知りアメリカ軍にだ捕されて乗組員は降伏する。アメリカ軍は「イ400」をハワイへ運び徹底的に内部調査を行い、その後爆破して沈めたのだった。「イ400」と「晴嵐」を一生懸命開発した技術者たちはすごかったと思う。それが戦争の道具であったことが悲しい。